超ISO企業研究会

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Home *TQM9000発展への解説ポイント
  27.品質情報収集・分析のポイント
発展表  データの分析へ


ISO9001では「品質マネジメントシステム」の適切性や有効性の実証、そして有効性の継続的改善に結びつくようなデータを明らかにして収集し分析することを要求しています。TQMへの発展第一ステップで考えなければならないことは、この要求に加えて、「製品」そのものの改善や、品質マネジメントシステムの「効率」の改善に目をむける事です。さらに、品質だけでなく、コストや納期にも目を向ける必要があります。

これは例えば、乗用車のユーザーが低燃費志向にシフトしてきているという「データ」を把握して、低燃費エンジンの開発や部材の軽量化に結びつける事であったり、棚卸資産回転率という「データ」を利用して、全社的な在庫の削減を行う、ということを意味します。


(1) 「有効性」と「効率」の違いについて
ある会社が「お客様に不良品を出荷しない」という目的をもっていて、これに対応するシステムとして人海戦術的な全数検査を実施しているとします。この結果、確かに不良品が顧客の手に渡ってしまうことは防げているとしたら、このシステムは「有効=目的に対して役に立っている」といえます。一方、検査員の人件費、不良品の処理費用、さらに検査要員や原材料、設備を売れるものを作ることに割り付けた時の機会利益のことを考えた場合、このシステムは「効率的=目的に最短距離で到達する」とはとてもいえません。このやりかたではお客様は喜ぶかもしれませんが、会社はつぶれてしまうかもしれません。TQMが「効率」を大事にするのはこの点からです。


(2) 収集・分析すべき「データ」
上記のような視点から、どのような「データ」を収集・分析するべきかについて以下に記述します。

1)品質マネジメントシステムの有効性に関するデータの例
  • 品質目標の達成度
  • 製品不良率
  • 顧客の苦情
  • 監査での不適合件数
  • 是正処置実施後の再発件数あるいは再発率

2)製品に関するデータの例
  • 製品不良率
  • 顧客の苦情
  • 製品別売上

3)品質マネジメントシステムの効率に関するデータの例
  • 製品不良率
  • 工程能力
  • 設計開発リードタイム
  • 製造リードタイム
  • 監査時の改善提案
  • 苦情処理費用と製品別売上
  • 生産量とスペース
  • 在庫量又は率
  • 労働生産性や資本生産性のような会計指標

これらのデータを「誰が」、「いつ」、「どのように」収集し、分析するかを決めておくことも大切です。特に、データを分析しきれないほど集めても意味はありませんから、第一ステップでは上記の例から「できる範囲」で計画すると良いでしょう。


(3) 分析について
データの収集、分析は、その結果を「利用し」、該当するプロセスに反映して、そこの「何かが変わる」ために行う活動である事に留意してください。したがって、分析に当たっては推移グラフや、特性要因図、パレート図のようなQC7つ道具レベルの手法を活用してください。
こうした分析を行う要員には、品質管理全般の教育が必要となるでしょう。