超ISO企業研究会

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  19.識別・トレーサビリティのポイント
発展表  識別及びトレーサビリティへ


7.5.3「識別及びトレーサビリティ」では、次の3項目が要求されています。


すなわち、
【1】 製品の識別:それぞれの製品の管理単位を明確にし、適切な表示がされていること。
【2】 製品の状態の識別:8.2.4「製品の監視及び測定」に関連して、検査済/未検査、適合/不適合、保留などの状態を明確にすること。
【3】 トレーサビリティ:製品の構成、履歴、所在を明確にすること。


これら3項目に対して、適切な手順を決めることが必要です。


(1) 識別の手順を工夫する
識別・トレーサビリティに係わる実際の管理では、上記の各要求事項のそれぞれを満たすように、識別の手順を工夫することが望まれます。
原材料の識別で、例示します。

1)原材料を管理する帳票例
下記の例に示すような原材料管理票を定めて、現物に貼り付けるなどすれば製品の識別のほかに、トレーサビリティも満たすことができます。また、製品の状態の識別にも応用できます。すなわち、
  • トレーサビリティ:原材料を受け入れた以後の各工程でこの票の「銘柄」、「供給者ロット番号」を転記していくことで達成できます。
  • 状態の識別:受入検査を行った後の合否判定結果を、この票の「受け入れ確認」欄に記入することで、識別できます。

この票を使用して原材料を管理することを標準化すればよいでしょう。

表:原材料管理票の例
項  目 内  容
銘 柄  
当社手配番号  
供給者名  
供給者ロット番号  
数量(単位)  
搬入日付  
受け入れ確認  
特記事項  

2)応用
原材料の種類、量によっては上記のように、供給者のロットごとに管理できない場合があります(例えば、電線製造用の樹脂を受け入れた後、サイロに貯蔵して、次工程で連続的に使用する場合)。このようなときには、次工程の作業記録とサイロへの投入記録を比較することで、おおよその範囲として原材料のトレーサビリティを定義することが実際的です。このことを、決めて標準化すればよいでしょう。


(2) 製品の状態の識別を行う
これは、8.3「不適合製品の管理」に関連しますが、要は不適合又は適合が確認される前の製品が使用されるのを防ぐことです。このために、現物への表示、保管場所の隔離など、目で見て分かりやすい形で識別できるよう、工夫することです。


(3) 識別・トレーサビリティを活用する
要求事項にとらわれず、組織が必要とする識別・トレーサビリティに係わるプロセスを確立し、改善に使用可能なデータを収集するとよいでしょう。


(4) QCDへの適用を行う
必要に応じて、製品単位・ロット単位でQだけでなく、C(コスト)、D(量、納期)に関するトレーサビリティが必要な事項を抽出・明確化し、製品履歴として追跡・確認できる手順を確立、記録を維持する仕組み構築に取り組むことも重要です。


(4) コンピュータ化に取り組む
識別管理が確実かつ迅速に実施できるように、識別管理の情報をコンピュータにより維持したり、検査試験の状態の識別を自動化してコストダウンを図るなど、組織の必要性に応じてコンピュータを活用するとよいでしょう。