超ISO企業研究会

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  14.デザインレビュー・検証・妥当性確認のポイント
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(1) デザインレビュー、検証、妥当性確認の違い
設計・開発における作業(プロセス)として、デザインレビュー(設計・開発のレビュー)、検証及び妥当性確認の三つがありますが、その違いがどこにあるかは、分かりにくいかもしれません。その三つを比較した表を下に示します。


表:デザインレビュー・検証・妥当性確認の違い
  デザインレビュー 検 証 妥当性確認
定義
(ISO
9000)
<レビュー>認定された目標を達成するための検討対象の適切性、妥当性、及び有効性を判定するために行われる活動。 客観的証拠を提示することによって、規定要求事項が満たされていることを確認すること。 客観的証拠を提示することによって、特定の意図された用途又は適用に関する要求事項が満たされていることを確認すること。
目的
(ISO
9001)
[1]設計・開発の結果が要求事項を満たしているか評価する。
[2]問題を明確にし、必要な処置を提案する。
設計・開発からのアウトプットが設計・開発へのインプットで与えられている要求事項を満たしていることを確実にする。 結果として得られる製品が、指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たしうることを確実にする。
一言でいうと 道筋から外れていないか? 基準に合った結果か? うまく機能するか?


1) 同じように「確認する」という行為であっても、「検証」は、ある基準に合っているかどうかを問題にし、「妥当性確認」の方は、そのような基準に関係なく製品が実際の用途にあっているかどうかを問題にしています。
 
2) 「デザインレビュー」は、設計・開発の一定の段階での評価・判定行為であり、「検証」及び「妥当性確認」の結果やそれ以前の情報等を利用して評価・判定し、必要な処置を決めることだとも言えるでしょう。
 
3) この三つの目的は上表に示したように異なりますが、その間にはかなりの重複と相互関係があります。一つの活動が、この三つ要求事項全てに関連することがあります。例えば、試作品の試験及びその結果の評価という一連の作業は、これら三つに大きく関係し、その作業の切り口によって、以下のように、三つのどれともみなすことができます。
 
[1] まず、試作品の特性を測って、仕様書の規格とあっているかどうか確認することは、「検証」であり、
[2] その試作品をすぐに顧客の使用条件と同じテストをして確認することは、「妥当性確認」といえるし、
[3] この試作品の特性測定結果及び顧客と同じ使用条件テスト結果を踏まえて、設計・開発の最終段階での適切性等の判断を下すとすれば、それは「デザインレビュー」とみなすことができます。
 
4) デザインレビュー、検証及び妥当性の確認の間の関係を次の図に示します。
 
5) 設計・開発の一連のプロセスの中での設計・開発のデザインレビュー、検証及び妥当性の確認等の流れをフローチャートにしたものは、「設計・開発フロー図(製品開発体系図)」と呼ばれることが多いようです。
(ポイント13-(1)及び付図13-1参照)



図 デザインレビュー、検証及び妥当性の確認の関係(概念図)


(2) デザインレビューの進め方
設計・開発のレビュー(デザインレビュー)は、設計・開発活動の一定の決められた段階で、設計・開発に関する各種情報を多面的に評価することによって、正確かつ満足のいく状態であるかを判断し、必要な処置を決めることです。
このため、過去の経験、失敗(トラブル)に学んで分析することや、関係者多数の英知を集積することが必要です。また、その結果を次期の設計に生かすことも考えなければなりません。

デザインレビューを行う時点(段階)は、決めておく必要がありますが、あらゆる場合に一様に各段階でやる必要はなく、製品の設計・開発の程度に応じて、省略できる段階を決めておくのが効率的です。例えば、従来品の小改良程度の新製品の場合は、全部で4段階あるデザインレビューの2つを省略(ショートカット)して進めるように決める等です。


付図13-1の脚注参照


また、ここでは「コスト」や「納期・生産量」などについてのレビューも加えることが必要です。特に、「効率」を意識したデザインレビューを実施することも必要で、次のような項目もレビュー項目に入れておき、「原価」についても設計の各段階で確認ができるようにしておくとさらに良いでしょう。特にこの中でも「部材の標準化」は効果の期待できるところです。

・製品の設計にむだはないか
・標準部材を使用しているか
・社内規格を満たしているか
・現有の資源を活用しているか
・加工性を検討したか

(3) デザインレビュー、検証、妥当性確認の記録
設計・開発のレビュー、検証、妥当性の確認のそれぞれについて、その結果と必要な処置を記録することが求められています。
これは、単に記録を残すのが目的ではなく、次期以降の設計・開発に役立たせる為にも行う必要がありますから、その目的に添った書式で記録をとるようにします。


付図14-1 デザインレビューの記録(設計審査会 議事録)の書式例