超ISO企業研究会

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  13.設計・開発の計画からインプット・アウトプットのポイント
発展表  設計・開発へ
(1) 設計・開発の計画
製品の設計・開発においては、顧客の要求仕様等から試作、製品仕様の決定、量産に進めるためのPDCAを回すため、計画が大切です。
この計画を明確にするためには、設計・開発の業務の流れをフローチャートにしたものを「設計・開発フロー図(製品開発体系図)」というような呼び方で、規程(標準)の一部として定めるのがいいでしょう。この「設計・開発フロー図(製品開発体系図)」を作る場合には以下の点に留意する必要があります。
 
[1] どの時点で何をするか、どのような文書を用いるか、どのような記録を作成するか、どの部門が関与するのか
[2] どの時点でレビュー(審査)・検証・妥当性確認をするか

「設計・開発フロー図(製品開発体系図)」とは別に、いわゆる新製品については製品毎に「新製品開発計画書」を作成するのが、いいでしょう。この計画書については、以下の点を考える必要があります。
 
[1] 設計・開発の際に必要となる(タイムスケジュールを含む)各種の事項を明確にしておきます。
[2] 設計・開発に関わる部門、担当者、責任者を決めます。
[3] 例えば、構想、試作、量産などの段階を決め、各々に計画書を作成するのもよい。
[4] 責任者により承認され、また進行に応じて適宜改訂されるべきものです。


付図13-1 「設計・開発フロー図(製品開発体系図)」の例

付図13-2 「新製品開発計画書」の例


(2) 設計・開発のインプットとアウトプット
設計・開発のプロセスでは、設計・開発へのインプットと設計・開発からのアウトプットを明確にする必要があります。
それらの例を下の表に示します。


表:設計・開発のインプットとアウトプットの例




外部から
(要求仕様)
・顧客又は市場のニーズ
・関連する法令・規制
内部から ・品質方針及び目標
・過去の経験からのフィードバック情報(トラブル事例)
・現存するプロセス及び製品の記録、並びにデータ
安全・環境
特性※
※プロセス又は製品の安全・環境面で適切な機能
・運用、設置方法
・保管、取扱い及び引渡し方法
・製品の廃棄に関する要求事項






―――
・以下の仕様書
  (合否判定基準を含む) 製品仕様書
  プロセス仕様書
  材料仕様書(購買要求事項)
  試験仕様書・製品図面
(ISO 9004 7.3.2 を参考にして、作成)


ここで大事なのが、要求事項を確実にアウトプットに織り込むことです。そのためには、次のようなステップで進めていくことが、ここでのポイントとなります。

[1] 要求事項をもれなく洗い出す。
[2] 洗い出された要求事項を、適切な品質特性に変換し、設計にインプットする項目を明らかにする。
[3] 変換された品質特性を満足させるための設計概要をまとめる。(「設計仕様書」を作成することもある)
[4] 詳細設計をして、図面、工程図などのアウトプット文書を作成する。

この中で特に重要なのが、[2]のプロセスです。ここで設計のレベルのほとんどが決まってしまうからです。この方法については、下で引用する付図を参照してください。


付図13-3 「要求品質→ 品質特性」変換の考え方


なお、この表中で、それぞれの品質特性に具体的な数値が書き込まれたものは「設計仕様書」の一例といえるでしょう。