超ISO企業研究会

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Home *TQM9000発展への解説ポイント
  12.顧客関連プロセス運用管理のポイント
発展表  顧客関連のプロセスへ
顧客の要求事項(仕様)については、94年度版ISO9001では、4.3 契約内容の確認で記述されていましたが、2000年度版では、顧客に対する要求レベルが更に拡大しています。また、次に発展していく方向は、顧客の満足を更に高める方向が考えられます。
 
'94年度版
不適合の防止
(全ての段階で不適合を防止して顧客の満足を得る)
'00年度版
顧客要求度の達成
(顧客がどの程度満足してるかの確認)
今後の方向
顧客満足
顧客を最大限満足させる
(1)顧客の要求をはっきりさせる
製品仕様は [1]開発型新製品 と [2]顧客指定仕様による製品 とでは前者がマーケティングなど予測や推定により仕様が決まりますが、後者の場合は顧客の要望によって、ほぼ、決まってきます。いずれの場合にも、製品仕様に関して、顧客要求事項を製品仕様書として文書化しておく必要があります。この製品仕様書に記載する項目は、 品質(Q)、コスト(C)、納期・数量(D)に重点が置かれます。これが不明確ですと設計・開発を行うのに必要な設計仕様書があいまいになり、進めているうちに開発の遅れやトラブルの元となり、最後は顧客に迷惑をかけることになります。

ISOでは、この他に
    1)顧客が明示していないが製品本来の用途から推定される仕様
    2)製品に関する法令・規則で決められている事項
    3)企業が所有しているノウハウ
なども製品仕様の中に入れることを要求しています。

(2)顧客が要求する製品仕様をレビューする
顧客からの注文に対して、受託してもよいかどうかを判断するために、契約する以前に社内で充分に検討しておく必要があります。レビューのポイントは下記の1)、2)の通りです。

1)企業内・関連部門の確認
顧客要求に対して、注文を受ける部門だけでなく企業内の関係する全ての部門が、顧客の要求する内容を充分に理解することが大切です。
顧客からの要求事項を洩れなく確認する方法として、仕様確認の手順書を作成しておくことが効果的です。一般的には「新製品開発体系図」の中に確認過程を記載しておきます。
(体系図に記載する内容)
 [1]仕様確認の全ての業務を洗い出します
 [2]担当部門を特定します
 [3]業務と担当部門を関連付けて図式化します(体系図化)
 [4]会議体、帳票類、基準類、法令・規則を対応させる
 [5]体系図に沿って業務をすすめ、不都合があれば修正を加えます

2)顧客の注文に答える能力の確認
顧客からの注文に対して、企業の持っている資源(技術力、設備、人員、資金、など)を使って、注文に応じる能力があるかどうかを確認します。安請け合いをして顧客注文に答えられない場合には、顧客の迷惑は元より、企業にとっても大きな損失にもなりかねません。
能力確認の手法として、BMO法(Bruce Merrifild & Ohe)が提案されています。


  参考:(BMO法)
     企業が注文を受けてもよいか否かを適社度という尺度で判断します。
     *資金力   *マーケット力  *製造力
     *技術力   *原材料入手力  *マネジメント支援力
     の6項目から成っています

顧客要求事項の確認により変更が生じた場合には、変更部分を文書化します。
また、顧客との間で、お互いに理解ができない部分に関しては、事前に協議を重ね、お互いに疑義のない状態で契約します。

(3)顧客とのコミニュケーション
顧客とのコミニュケーションを計るポイントとして、まず、次の4点を実施します。

1)顧客を誰にするかを明確にします
  中間製品の販売などの場合、顧客が最終製品の消費者か、あるいは中間の加工業者か迷うことがあります。この場合、誰を顧客とするかを決めて諸活動を進めていく必要があります

2)顧客対応の窓口を設定します
  一般には、「お客様相談室」、「CSセンター」などと呼ばる顧客と直接接する窓口を設置します。
顧客対応のマネジメントに関しては JIS Z9920 「苦情対応マネジメント」を参照して下さい。

3)顧客満足を計る「物差し」を設定して、レベル向上を計って行きます

4)顧客情報ルートを明確にします
  この情報ルートを通して
  1. 顧客からの質問や意見の交換
  2. クレームや苦情の受付とその対応
  3. 顧客情報(市場情報)の企業内関係者へのフィードバック
などを実施していきます。