超ISO企業研究会

これまでの活動

Home *TQM9000発展への解説ポイント
  7.マネジメントレビュー実施のポイント
発展表  マネジメントレビューへ
マネジメントレビューのやり方のひとつとして、例えば以下のようなやり方もあります。

マネジメントレビューのためのインプットとして「マネジメントレビューチェックシート」を用いて明確にし、内部コミュニケーションで定めた内部会議一覧表に従って、経営者がレビューを実施し、マネジメントレビューからのアウトプットを「マネジメントレビューチェックシート」で明確にします。

マネジメントレビューの結果として、以下の事項の結論をだします。

a)  品質マネジメントシステムが適切、妥当、有効であること
b)  品質マネジメントシステムの改善の機会を評価
c)  品質マネジメントシステムの変更の必要性を評価
d)  品質目標の達成状況の評価


付図7-1 「マネジメントレビューチェックリスト」


付図7-2 「部門別マネジメントレビュー報告書」


マネジメントレビューの記録は、品質記録管理規定に従って、維持管理します。

マネジメントレビューをより効果的にするには、以下の事項を追加するとよいでしょう。



(1) マネジメントレビューへのインプット

[1] 監査の結果
内部監査からの判断ポイント
  • 規格要求事項に適合しているか。
  • QMS要求事項に適合しているか(手順とおりに実施しているか。)
  • 製品実現の計画に適合しているか(計画書とおり実施しているか)
  • QMSが効果的に実施・維持されているか。(予防処置、改善は実施されているか)
  • 是正処置は実施され、真の原因について対策され、再発防止の効果はあったか。
  • 不適合製品は発生していないか。
  • 顧客からの苦情は無いか。
 
外部監査からの判断ポイント
 
  • 規格要求事項に適合しているか。
  • QMS要求事項に適合しているか(手順とおりに実施しているか。)
 
自己評価結果の実施
 
  • ISO9004の自己評価表を用いた評価結果
 
上記の監査結果を管理責任者がマネジメントレビュー前に分析します。
 
[2] 顧客からのフィードバック
  規格要求の8.2.1の顧客満足に従って、顧客満足度のデータを収集します。顧客クレームは月1回の品質会議において、重大クレームを含み軽微なクレームのデータを収集します。これら収集した顧客関連データを管理責任者がマネジメントレビュー前に分析します。Q(品質)だけでなく、C(コスト)、D(量、納期)に関するクレームも含めます。
 
[3] プロセスの実施状況及び製品の適合性
  月1回の品質会議において、各部門の不適合製品の管理状況及び出荷後のクレーム件数を報告させ、管理責任者がマネジメントレビュー前に分析します。Q(品質)だけでなく、C(コスト)、D(量、納期)に関する不適合も含めます。
 
[4] 予防処置、是正処置、改善活動の状況と結果、品質目標の達成状況と結果
  月1回の品質会議において、予防処置、是正処置、改善活動の状況と結果、品質目標の達成状況と結果を報告させ、管理責任者がマネジメントレビュー前に分析します。Q(品質)だけでなく、C(コスト)、D(量、納期)に関する改善活動、目標の達成状況も含めます。
 
[5] 前回のマネジメントレビューの結果に対するフォローアップ
  前回のマネジメントレビューのアウトプットに対するフォローアップを管理責任者がマネジメントレビュー前に情報を収集し分析します。
 
[6] 品質マネジメントシステムに影響を及ぼす可能性のある変更
  管理責任者がマネジメントレビュー前に、社会状況、環境状況、法令・規制要求事項の変更などを考慮し、品質マネジメントシステムの変更が必要であるかを分析します。
 
[7] 改善の提案
  月1回の品質会議において、以下の情報から
 

市場関連情報、技術動向、研究開発、
競合会社のパフォーマンス、供給者のパフォーマンス

  改善について各部門から報告させ、管理責任者が年2回のマネジメントレビュー前に集約します。Q(品質)だけでなく、C(コスト)、D(量、納期)に関する改善も含めます。
 
[8] マネジメントレビューへのインプットには年度での結果と傾向(経年変化)を含めて報告します。


(2) マネジメントレビューからのアウトプット
マネジメントレビューからのアウトプットとしては、以下の情報を含みます。

[1] 品質マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善の決定、処置
Q(品質)だけでなく、C(コスト)、D(量、納期)に関する品質マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善を決定します。
 
[2] 顧客要求事項への適合に必要な製品の改善の決定、処置
Q(品質)だけでなく、C(コスト)、D(量、納期)に関する顧客要求事項への適合に必要な製品の改善を決定します。
 
[3] 資源の必要性の決定、処置
Q(品質)だけでなく、C(コスト)、D(量、納期)に関する資源の必要性を決定します。
 
(3) マネジメントレビューの記録化
レビューの結果を記録し、社内イントラネットなどで組織内に伝達し、経営者の決定・考え方を組織内に示します。


(4) マネジメントレビューのやり方
ISOの要求事項には、マネジメントレビューでやらなければいけないことは書いてありますが、そのやり方には決まりがあるわけではありません。ですから、自社の実情に合った無理のない効果的な方法でやればよいでしょう。例えば、社長などの経営者と幹部が定例的に行う会議体などを利用してやるのもひとつの方法です。いずれにしても、経営者と幹部がコミュニケーションを取れるいいチャンスでもあるので、年度や半期に一度、経営者が全体にわたって見直しをする習慣をつけると、これがTQMで言う「トップ診断」へと発展するベースとなり得ます。まずは、マネジメントレビューを含む「トップ懇談会」とでも言うようなしくみをISOを利用して作ると良いのではないでしょうか。