超ISO企業研究会

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  3.品質記録の取り方のポイント
発展表  記録の管理へ


ISO9001:2000では、以下の事項が要求されています。


「品質記録管理規定」に、品質記録の識別、保管、保護、検索、保管機関、廃棄の手順を定め、記録を維持・管理します。

品質記録の取り方を効果的に実施するために、以下の事項を追加します。

社内イントラネットに「品質記録一覧表」を掲載し、記録作成に必要な帳票をクリックすると、その帳票がダウンロードできる機能を用意します。この機能を用いると品質記録の帳票がスピーディに検索でき、作成が可能となります。ここでは、全社様式の帳票を対象としますが、部門の様式などを含んでもよいでしょう。

品質記録を取る目的は、「要求事項への適合の証拠を示す、及び品質マネジメントシステムの効果的運用の証拠を示す」ことです。このため収集、保管などのコストを考慮し、取るべき品質記録、保管期間などを決めることが重要です。



付図3-1 「品質記録一覧表」


品質記録は、規格の「8.4 データの分析」で要求されている以下の情報を提供します。
  • 顧客満足
  • 製品要求事項への適合性
  • プロセスと製品の特性及び傾向


品質記録の取り方には以下の2つの方法があります。ただし、社内にイントラネットが構築されていることを前提とします。
a) 記録収集管理システムが存在する場合。
メリット: 自動的に記録が収集され、データの分析が簡単にできます。
デメリット: システム導入費用がかかります。
 
b) ダウンロードした全社様式帳票を紙又は電子媒体を用いて記録する場合。
メリット: 導入費用はあまりかからない。システム変更が容易です。
デメリット: 記録の収集に時間を割かれ、データの分析に時間がかかります。


以下、ダウンロードした全社様式を紙又は電子媒体を用いた記録の管理についてのポイントを解説します。


(1) 全社様式の帳票のファイル形式
  全社様式の帳票のファイルは、社内イントラネットの「品質記録一覧表」からdoc(word)、txt(テキスト形式)、jtd(一太郎)ファイルなど直接書き込み可能なファイルとしてダウンロードして用います。


(2) 「品質記録管理規定」の記述内容
 
[1] 品質記録管理の目的を記述します。
[2] 品質マネジメントシステムで必要な記録を、「品質記録一覧表」で明確にします。
[3] 品質記録の管理組織・責任者を、「品質記録一覧表」で明確にし周知徹底します。
[4] 品質記録の保管場所、保管期間を「品質記録一覧表」で設定します。
[5] 電子媒体での管理、紙での管理について、以下の項目を明確にします。
  • 識別の手順
  • 保管の手順
  • 保護の手順
  • 検索の手順
  • 廃棄の手順


(3) 電子媒体での管理
 
[1] 識別
品質記録の識別方法を明確にします。たとえば、ファイル名(記録名、発行日)などを用います。必要があれば、記録管理番号を用います。さらに、品質記録は、フォルダ内に格納し、フォルダ名で識別します。
 
[2] 保管の手順として、以下のような手順を明確にします。
  • 保管責任者、保管場所を決め、管理します。
  • 利用の手順を定めます。
  • イントラネット上の記録のセキュリテイ確保(読み込み専用)を明確にします。
  • サーバのバックアップ体制を確立します。
     
[3] 保護の手順として、以下のような手順を明確にします。
  • 保管場所において、保管責任者が損傷・劣化しないように保護します。
     
[4] 検索の手順として、以下のような手順を明確にします。
  • 検索が容易になるように、記録は電子ファイル化します。
  • フォルダー名などで記録の見出しをつけ、検索が容易にできるようにします。
     
[5] 廃棄の手順として、以下のような手順を明確にします。
  • 廃棄する場合の承認者、機密保持扱いの要・不要を定めます。


(4) 紙での管理
 
[1] 識別
品質記録の識別方法を明確にします。たとえば、記録名、発行日などを用います。必要があれば、記録管理番号を用います。品質記録は、市販ファイルに格納し、ファイルの背表紙でも識別します。
 
[2] 保管の手順として、以下のような手順を明確にします。
  • 保管責任者、保管場所を決め、管理します。
  • 利用の手順を定めます。
     
[3] 保護の手順として、以下のような手順を明確にします。
  • 保管場所において、保管責任者が損傷・劣化しないように保護します。
     
[4] 検索の手順として、以下のような手順を明確にします。
  • 検索が容易になるように、記録は市販ファイルにファイルします。
  • 見出しを市販ファイルの背表紙につけます。
  • 記録の間には見出し付けを必要に応じて行います。
     
[5] 廃棄の手順として、以下のような手順を明確にします。
  • 廃棄する場合の承認者、機密保持扱いの要・不要を定めます。




記録は次のように大きくは3つの目的があります
【1】実行していることの証拠としての記録
【2】知識として蓄えておく
【3】他社の行動や活動に使用する(コミュニケーション)
 

記録は、この3つの目的に応じて役割を果たしているかどうかをよく確認をしてムダな記録はつけないように気をつけることが大事です。

このうち、TQMの第一歩として踏み出すために特に大事なのは、「知識」として、会社の財産になるように記録を活用できるようにすることです。特に以下のような品質情報が、容易に検索可能な形で残されていくようにしましょう。このためには、IT(情報技術)を活用した「品質情報検索システム」が構築されることが最も効果的な方法となります。



・設計の失敗事例

・不良の是正処置、予防処置の情報

・検査結果の情報

・顧客の要求事項に関する情報

・顧客からのクレームの情報

・工程情報(不良の発生状況、管理図などの発生状況など)

・主要な部材の受け入れ検査状況