超ISO企業研究会

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Home *TQM9000発展への解説ポイント
  2.文書管理のポイント
発展表  文書化に関する要求事項へ


ISO9001:2000では、「文書管理規定」を制定し、その中に以下の事項の記述が要求されています。
【1】文書のレビュー、承認
【2】文書の識別(変更、版数など)
【3】最新版管理・配布管理
【4】外部文書の識別と配布管理
【5】廃止文書の識別

文書管理を効果的に実施するために、以下の手順を追加します。



(1) 文書管理のシステム化
  品質マニュアル、全社規定類を社内イントラネットを利用し、「文書管理システム」でシステム化し、効果的に機能させます。ここでは、全社規定類を対象としますが、部門の手順書、計画書類などを含んでもよいでしょう。
システム化された文書管理は以下の機能をもたせます。
  • 最新版管理と検索性の良さ
  • 文書管理の不具合に対する再発防止のシステム化
  • 廃止文書の体系的な管理


(2) 文書管理システムの構築
  文書管理システムの構築には以下の2つの方法があります。ただし、社内にイントラネットが構築されていることを前提とします。
 
a) 市販の文書管理システムの導入。
メリット: 規格要求事項a)~g)がシステムでカバーされています。
デメリット: 導入費用がかかります。システム変更が難しい。
 
b) 社内イントラネットで構築。
メリット: 導入費用はあまりかからない。システム変更が容易。
デメリット: 規格要求事項a)~g)をシステムでカバーするように構築しなければならない。
以下、ここでは社内イントラネットでの構築についてのポイントを解説します。


(3) 文書ファイルの形式
  文書ファイルは、以下のファイル形式を用意します。
  • htmlファイル(文字、表のみ)
  • pdfファイル(図がある場合)
  • doc(word)、txt(テキスト形式)、
    jtd(一太郎)ファイルなど(直接書き込み可能なファイルとして利用)


(4) 文書ファイルの構成
  以下の文書管理台帳をメイン画面とし、そこからリンクを張った文書が閲覧できる構成とします。
 
イントラネット上のメイン画面(文書管理台帳)
文書名 版数 発行日 承認者
品質マニュアル 1.5 2001/2/1 経営者
  品質方針書 1.0 2001/4/1 経営者
  年度全社品質目標 1.0 2001/4/1 経営者
  管理責任者任命書 1.0 2001/2/1 経営者
文書管理規定 2.0 2001/3/1 管理責任者
  文書管理台帳 2.0 2001/3/1 管理責任者
品質記録管理規定 1.5 2001/2/1 管理責任者
方針展開規定 1.5 2001/2/1 管理責任者
・・・   ・・・ ・・・


(5) 「文書管理規定」の記述内容
 
[1] 文書管理の目的を記述します。
 
[2] 品質マネジメントシステムで必要な文書を、付図 2-1「文書体系図」で明確にします。
付図2-1 「文書体系図」
 
[3] 法令・規制要求事項の入手方法を明確にします。
 
[4] 付図 2-2で文書の適切性をレビューし、承認する責任・権限を明確にします。
付図2-2 文書の作成・承認の責任・権限表
 
[5] 内部監査時に管理文書が再レビューされていることの確認を明確にします。
 
[6] 文書作成時の変更・改訂履歴の情報の利用方法(付図 2-3の変更・改訂理由欄の設置など)を明確にします。
付図2-3 変更・改訂理由欄
 
[7] 文書の識別方法を明確にします。たとえば、文書名、版数、発行日などを用います。必要があれば、文書管理番号を用います。外部文書の識別方法を明確にします。
 
[8] イントラネットでの管理、紙での管理について、各要領で記述すべき以下の項目を明確にします。
  • 文書の承認手順
  • 最新版の管理手順
  • 配布管理手順
  • 廃止文書の識別
  • 文書の維持管理手順


(6) 「文書管理規定(イントラネット対応)」の記述内容
 
[1] 文書の承認手順として、以下のような文書の承認方法があり、手順を明確にします。
  • 原本への押印
  • メールに文書を添付し、承認依頼を行い、リプライで承認・未承認を確認
  • 電子承認機能(ワークフロー)を利用
     
[2] 最新版の管理手順として、以下のような方法があり、手順を明確にします。
  • 押印された原本と文書管理台帳
  • 承認済みホルダーでの管理
     
[3] 配布管理手順として、以下のような方法があり、手順を明確にします。
  • WEB上に1部配布を行う
  • 配布管理台帳にて配布先、版数を管理


付図2-4 配布管理台帳
 
付図2-5 外部文書配布管理台帳


[4] 廃止文書として、以下のような方法があり、手順を明確にします。
  • 廃止ホルダで管理
  • 廃止文書を識別で明確にします。
     
[5] 文書の維持管理手順として、以下のような手順を明確にします。
  • イントラネット上の文書のセキュリテイ確保(読み込み専用)
  • サーバのバックアップ体制の確立
  • イントラネットから落とされた文書の管理手順
    (非管理文書の定義と使用制限)