超ISO企業研究会

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  26.不適合品管理のポイント
発展表  不適合製品の管理へ


不適合管理とは、不適合な製品・サービスが誤ってリリース(後工程に進行)し使用されたり、顧客に引き渡しされたりしないようにするという重要な活動で、規格が4.2.1で要求する「文書化された手順」を要求している6つの項目のひとつであり、また4.2.4に規定される記録の管理の対象にもなっています。ここで製品には、完成品だけでなく原材料、部品や半成品も含まれます。

不適合管理では次のことが大切です。


(1) 不適合の判定基準・責任権限の明確化
顧客の要求事項、法規制、社内の製品規格などから受け入れ検査、工程内検査、最終検査などそれぞれの段階での適合不適合の判定基準を明確に決めて、検査規格などの形で文書化します。

そしてそのような不適合が発見されたときの処置を誰がどのように行うか、責任権限や手順などを明確にし、文書化して下さい。これにはフロー図を使うと便利です。最終的に誰が決定するかは、不適合の与える影響の大きさによりわけられるべきです。


付図26-1 不適合管理のフロー図


(2) 不適合製品の識別
誤って使用されたり引き渡しされないためには、まず不適合製品を正常な製品と区別できるようにすることが必要です。一般に現物に不適合を示すタグやラベルをつけたり、不適合品だけを特定の場所に保管するなどの処置をとります。タグや不適合品の保管場所の表示は、たとえば大きく、赤色を使うなど目立つものにして、関係者に分かりやすくして下さい。


(3) 不適合製品の処置の決定
不適合製品の処置には次のものがあります。
[1] 手直し:これは不適合を取り除き、要求事項に適合させることです。
[2] 修理:これは意図した用途には使えるように不適合部に何らかの処置をとることで、この場合、修理したあとどのような再検証、たとえば再検査などをどうするか明確にしておくことが必要です。修理は時間に追われて行うことが多いものですが、うっかり再検証をしないで後工程にリリースすることがないよう、仕組みをしっかり作っておきましょう。
修理は、正常な場合と異なる手順、たとえば手作業で行われる場合がありますので、再検査の条件をどのように決めるか、通常の場合と同じでよいか、より厳しいものにするかなど、慎重な検討が必要です。
[3] 特別採用:顧客の要求事項の一部を満たさない場合に、顧客の承認を事前に得た上でリリースすることで、その承認を誰がどのように申請し確認するか、明確にすることが必要です。特別採用はその不適合が、顧客の使用に実用上問題ないと判断される軽い内容の場合に限るべきです。
[4] 再格付け、廃却:この場合、誰がそれを行うべきか明確にし、確実に再格付けや廃棄処分が行われるようにして下さい。


(4) 不適合の影響の評価と処置
規格は製品を(顧客に)引き渡した後に不適合が発生したときに、その影響を評価し必要に応じて処置をとることを要求しています。不適合の影響を評価するにはまずその真の原因を追求し、それがいつから発生しているか、従ってどの製品の範囲に影響がおよんでいるかを明確にすることが必要です。

7.5.3項で要求されている識別及びトレーサビリティがこのときに活きてきます。この活動は、製造物責任問題(PL)への対応などに関連する重要なものです。(1)で述べた手順にはここまでも含めることが必要です。できるだけ


(5) 不適合情報の活用
不適合は品質システムが持つ何らかの欠陥の結果として発生します。それだけに、不適合が発生したときに、その原因を追究しそれを除去し、さらに潜在的な欠陥があればそれも未然に発生を防ぐことが大切です。原因の追及では、QCストーリーにのっとり事実:データにもとづくことが大切です。これらは、(8.5.2:是正処置)、(8.5.3:予防処置)において規定され、付図29-1でも説明されていますので参照して下さい。

また、それらの活動を有効なものにするためには、どのような不適合がいつどの製品で、どの工程で発生しているか、データを収集し解析する事が必要で、これも(8.1:データの分析)に規定されています。データの収集では、コンピューターを活用して、もれなくスピーディに行える様にすることも重要です。

不適合は発生しないにこしたことはありませんが、発生した場合はシステムの弱点を顕在化させ強化させる機会でもありますので、そこから多くの情報を取り出して活用し、システムの改善に結びつけたいものです。


付図29-1 QC的問題解決の手順


(6) クレーム品の処理
「不適合品」のひとつとして、お客様のところで発見された「クレーム品」があります。これについての処理は、上記の処理だけでなく、以下の点について留意しておく必要があります。

  • お客様に対するスピーディな処理(交換、手直しなど)
  • 同一製品についての処置(流通経路にあるもの、工場にあるもの、倉庫にあるものなど)
  • 同様な製品についての処置(クレーム製品と同一の部品、機構、原理などがもった製品への処置)
  • お客様への情報の公開の必要性


なお、「クレーム品の処理」の詳細については「超ISO企業」(2003年6月日科技連出版社より発刊)にも記載されています。