超ISO企業研究会

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  21.監視・測定機器管理のポイント
発展表  監視機器及び測定機器の管理へ


7.6「監視機器及び測定機器の管理」では、製品及びプロセスの検証と妥当性確認を行うための監視機器・測定機器に関する要求事項を規定しており、要求事項のポイントは次の内容です。

  • 実施すべき監視・測定の明確化、及び必要な監視機器・測定機器の明確化
  • 監視・測定の実施を確実にするプロセスの確立
  • 測定値の正当性を保証するために満たすべきこと 《a)~e)の5項目》
  • 測定機器が要求事項に適合していないことが判明した場合の処置方法
  • 監視・測定にコンピュータソフトウェアを使う場合の確認及び実施事項

「監視」には、監視の結果によって実行される処置事項までは含んでいません。
「測定機器」は、「測定プロセスの実現に必要な、計器、ソフトウェア、測定標準、標準物質又は補助装置若しくはそれらの組合せ(ISO9000の3.10.4)」を意味します。


(1) 監視・測定及び監視機器・測定機器を明確化し、重点管理する
製品が、定められた要求事項に対して適合しているかどうかを実証するために実施すべき監視・測定を明確にし、またそのために必要な監視機器・測定機器を明確にし、機器選定のコスト評価などを加味し、重要度を分析して重点管理することが重要です。

この際に大切なことは、顧客の要求事項、製品が本来具備すべき要求事項、法令・規制要求事項、組織が必要と判断した要求事項に照らし合わせて、上記項目を明確化することです。明確化された事項は、「QC工程表」などに確実に反映する必要があります。

明確化する事項は、監視・測定の目的、項目、場所、サンプリング方法、必要精度など、また監視・測定機器の正確さと精度、機器の識別方法などです。

付図21-1 測定機器リストの例


(2) 監視・測定プロセスを確立する
製品とプロセスの検証・妥当性確認に使用する方法や機器・道具(この道具にはチェックシートなどの帳票もはいります)、また調査、シミュレーション、その他の監視・測定の活動を含めて、効果的で効率的な測定・監視のプロセスを定めて実施します。

測定・監視のプロセスでは、機器・道具の状態を特定する方法を確立することも重要です。

また、プロセスのアウトプットの検証プロセスから生じる誤りを排除するためのプールフルーフなどの手段も十分に検討しましょう。

品質マネジメントの原則「意思決定への事実に基づくアプローチ」では、「効果的な意思決定は、データ及び情報の分析に基づいている」と記述されており、製品とプロセスの検証・妥当性確認の結果得たデータ及びそこから得た情報を、品質マネジメントシステムの継続的改善に役立てることが不可欠です。このためにも、効果的で効率的な監視・測定プロセスの確立が極めて重要になります。

付図21-2 測定機器管理業務フロー図の例

付図21-3 測定機器に関する標準類の例


(3) 測定の正当性を保証する
測定結果は、常に正当でなければなりません。測定の正当性を保証する場合は、次の事項を満たすとよいでしょう。

[1] 定められた間隔又は使用前における校正又は検証
・国際又は国家計量標準にトレース可能な計量標準に照らして実施
・そのような標準が存在しない場合には、校正又は検証に用いた基準を記録
[2] 機器の調整、又は必要に応じての再調整
[3] 校正の状態が明確にできる識別
[4] 測定結果が無効になるような操作の防止
[5] 取り扱い、保守、保管において損傷・劣化しないような保護
[6] 重要度の分析結果を反映した点検・校正の間隔
[7] 適切な環境の維持
[8] 機器に発生したトラブルの原因分析、再発防止処置

測定の正当性を保証する場合の手順を、監視・測定プロセスとして確立しておくことが重要です。


(4) 要求事項に対する不適合への処置を確実に行う
校正はずれなど、測定機器が要求事項に適合していないことが判明した場合、次の処置をとることが必要です。

[1] 測定装置でそれまでに測定した結果の妥当性の評価と記録
[2] 機器及び影響を受けた製品に対する適切な処置
[3] 校正及び検証の結果を品質マネジメントに関する記録として維持

測定機器が要求事項に適合していないことが判明した場合の手順を、監視・測定プロセスとして確立しておくことが重要です。


(5) コンピュータソフトウェアの管理手順を確立する
規定要求事項にかかわる監視・測定にコンピュータソフトウェアを使う場合は、次の事項の実施が必要です。

[1] コンピュータソフトウェアによって意図した監視・測定ができることの確認
[2] コンピュータソフトウェアを最初に使用するのに先立って確認の実施
[3] 必要に応じた再確認

今後益々コンピュータソフトウェアを活用した監視・測定が広く行われていくものと思われます。これらの監視・測定作業は目に見えにくいこともあり、過度の安心はせずに、監視・測定用のコンピュータソフトウェアについても、監視・測定機器と同様の管理手順を確立することが重要です。