超ISO企業研究会

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Home *TQM9000発展への解説ポイント
  4.品質方針・目標の設定と経営者のコミットメントのポイント
発展表  経営者のコミットメントへ


ISO9001:2000では以下の事項が要求されています。


経営者は、品質方針を文書化し、発行します。年度の始めに前年度の結果、問題点並びに原因等を把握し、見直しを行い、必要があれば品質方針の再発行を行います。
全社品質目標を発行し、各部門で品質目標を設定させます。この品質目標の達成を「方針展開プロセス」に従って、管理します。

品質方針・目標の設定を効果的に実施するために、以下の事項を追加します。

(1)品質方針
品質方針は、経営者の決意として、以下の事項を含むように決定します。
a) 経営理念、ビジョン等の組織(企業)の目的に沿った方針とし、さらに顧客満足の向上を目指すことを宣言します。
b) 法令・規制要求事項、顧客要求事項を満たすことの重要性を組織内に周知することの決意を示します。
c) 品質マネジメントシステムの有効性の継続的な改善を実施することの決意を示します。
d) 全社品質目標を設定し、組織内の関連する部門・階層で目標を展開させ、監視する決意を示します。
e) 品質方針を組織全体に伝達し、理解させることの決意を示します。
f) 品質マネジメントシステムの適切性の持続のためにマネジメントレビューを実施することの決意を示します。
品質方針は、文書化し、社内イントラネットに掲載し、組織全体に伝達し、理解させます。また、年初の職員会合等で、この品質方針を組織全体に伝達し、理解させます。

特に品質マネジメントの8原則の中の「リーダシップ」から、品質方針・目標の設定と経営者のコミットメントは重要となります。

(2)経営戦略と品質方針
企業を永続させるうえで重要なことは、経営理念(企業理念)を掲げ、その企業のあるべき姿ならびに到達したい目標として「経営ビジョン」を示します。この経営ビジョンは、自社の目指す将来の具体的な姿を、株主、社員、顧客、社会(利害関係者:ステークホルダーとも言われる)などに対して表明したものとなります。ビジョンの役割は、「事業を通して実現したいこと」を明確にし、社員の行動規範のもとになります。このため、職員の意欲をかき立てる重要な役割を持ちます。
この経営理念を基に、Q(品質)、C(コスト)、D(量、納期)について、あるべき姿ならびに到達したい目標としての「品質方針」を示します。品質方針は、顧客のニーズ及び期待、市場動向、競合状況、自社の能力などを分析した経営計画を考慮して策定します。

(3) 品質目標の設定と管理
[1] 方針展開(目標展開)の基本
方針管理(目標展開)は、経営者はじめ全職員が力を結集して、企業・組織の体質改善・改革を実現し、健全な経営管理システムを維持・発展させていくための、TQMにおける重要な要素です。
方針管理(目標展開)という方法論を導入するに当たっては、企業・組織の規模、風土を生かながら、その企業・組織にあった仕組みを構築し推進していくことが重要です。

方針管理(目標展開)における基本を以下に示します。

  • 全社品質目標を設定します。
  • 品質目標が各部門、各階層に展開され、その実施状況を管理する。
  • この品質目標には、Q(品質)、C(コスト)、D(量、納期)を含めます。
  • 品質目標を達成するためには、PDCAサイクルを確実に回すことが必須です。
  • 方針管理(目標展開)を実践していくシステム、手順を決定します。

[2] 品質目標の設定
経営者は、年度の始めに前年度の結果、問題点並びに原因等を把握し当該年度の全社品質目標を策定し、文書化します。この全社品質目標を基に、各部門で品質目標を展開します。品質目標は顧客のニーズ及び期待、市場動向、競合状況、自社の能力などを分析した経営計画を考慮して策定します。特に品質マネジメントの8原則の中の「顧客重視」から顧客のニーズ及び期待に沿った策定が望ましい。品質目標は文書管理の対象とし、社内イントラネットに掲載し、組織全体に伝達し、理解させます。

[3] 品質目標の管理
「方針管理プロセス」を決定し、管理を行います。
ここで用いる、品質目標展開のための様式を以下に示す
  全社品質目標 当該年度の、経営者が策定した全社の品質目標
部門目標展開表 全社品質目標に対して、部門長が自部門での重点目標、及びその方策を決定し、経営者が承認します。
部門品質目標管理表 全社品質目標及び部門の品質目標を記述し、部門内の各業務に対し、四半期ごとの目標及び施策を計画し実績を管理します。
四半期ごとの評価及び問題点を、経営会議にて報告し、経営者の承認を得ます。
業務品質目標管理表 全社品質目標、部門品質目標、業務品質目標を記述し、月ごとの業務の目標及び施策を計画し、実績を管理します。
月ごとの評価及び問題点を、部門内会議にて報告し、部門長の承認を得ます。
部門長は月ごとの品質会議で、部門の目標達成状況及び問題点を管理責任者に報告します。
品質目標のための会議は、内部コミュニケーションで決定した「内部会議一覧表」と整合をとります。