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『本日から、品質部門配属になりました』シリーズの総括と新シリーズの配信に関して   (2021-07-19)

2021.07.19

『本日から、品質部門配属になりました』シリーズの総括と新シリーズの配信に関して

 

メルマガ『本日から、品質部門配属になりました』シリーズ配信終了に当たって

先週7月13日をもちまして,1年2か月前の2020年5月18日から始まった『本日から、品質部門配属になりました』シリーズ,全58回に及ぶ長編がやっと終わりを迎えました.このシリーズの最も大きな目的は,品質部門がどのような役割を果たすべきか,その際の留意事項は何かを体系的に示すことにありました.

ここでいう「品質部門」とは,組織によっては,品質保証部,品質管理部,あるいは品質本部などと呼ばれているかもしれません.零細・中小企業においては,品質を担当する部門がなく,個人や小グループを品質担当に任命していることもあるでしょう.または,ある程度以上の大きな組織であれば,品質部門が,本社の品質統括本部,事業部ごとの品質担当部門,事業所ごとの品質担当部門,製造部門における工場全体や製造課などの品質担当部門,というように複数の組織階層に位置づけされているかもしれません.いずれにしても,製品・サービスを通して顧客に価値を提供しようとする組織において,品質という経営機能を担う組織単位や,経営システム要素がないことは考えられません.それらを総称して「品質部門」と呼ぶことにしました.

また,このような「品質部門」において果たすべき役割を下記に示すように,A~Dのように分類し,合計17テーマでその内容を解説してきたのです.

 

 A.品質保証体制: 品質保証体制の構築・維持・改善

  ①品質保証体系の構築、可視化(体系図作成)、運用、評価(定期的レビュー)

  ②品質情報システムの構築,運用

  ③社内への標準化推進

 B.4つの品質保証:品質の4つの側面(企画,設計・開発,量産,市場)の保証

  ④企画品質の保証

  ⑤設計・開発品質の保証

  ⑥量産品質の保証(量産プロセス管理)

  ⑦量産品質の保証(調達・外注管理)

  ⑧市場品質の保証

 C.品質保証の全組織的活動: 全組織的、部門横断的な活動

  ⑨品質会議の運営

  ⑩品質評価

  ⑪クレーム処理,重要品質問題対応

  ⑫品質管理教育

  ⑬全社的品質改善活動の推進

 D.品質経営参謀: 品質経営の推進における参謀的役割

  ⑭経営における品質の意義の全社的浸透

  ⑮品質のための体制の構築・維持・改善

  ⑯組織内外への情報発信

  ⑰トップ診断

 

これら①~⑰のうち,読者の皆様または皆様の所属組織において,どのテーマについてどの程度実施しているでしょうか.また既に実施しているテーマであっても,ここまでは品質部門としてやっていないかもしれない,ということもお気づきになったかもしれません.本シリーズにおいてそうした気づきや学びが少しでも読者としてお感じいただけたのであれば,執筆者一同喜びに堪えません.1年以上に渡る同シリーズの配信となりましたが,最後までお付き合いいただき,誠にありがとうございました.

 

本研究会初の“動画配信”シリーズの企画・準備を開始

さて,次の新シリーズの検討に当たり,これまでも懸念として挙がっていました文面によるメルマガ配信の限界やむずしさ,すなわち図表が使用できず,かつ文面に滲み出てくるその裏にある意味合いや執筆者の熱き想いが伝わりにくい点について再度,議論しました.また,2019年末からの新型コロナウイルスの大厄災によって対面での人同士の交流は感染防止の観点から憚れるようになったことに伴い,コミュニケーション手段としてのオンライン配信が多用され,社会にも広く受け入れ始めました.このように,文面のみによるメルマガの限界と,オンライン配信という新たなコミュニケーション手段の台頭を踏まえて,本研究会初の“動画配信”によるシリーズを企画することになりました.その名も『オンライン動画配信シリーズ:なるほど,そうだったのか!15分動画で理解できる品質管理の“ちょっといい話”』です.

上の『本日から、品質部門配属になりました』シリーズの完了に合わせて,本動画配信シリーズの準備を同時並行的に進めておりました.例えば,以下のようなテーマで動画を配信する予定です.配信時期は現在のところ8月末から9月であり,配信手段としては本研究会事務局であるテクノファの動画配信サイトを用いますが,詳細は追ってご連絡いたします.どうぞ楽しみにしておいてください.

 

・内部監査が特別なものと誤解していませんか?

・文書はこうやって作成し活用すればよいのです。

・あなたの経験を次の仕事に活かすコツ伝授します!

・あなたの悩み解消します!「どうしてあの人は○○してくれないんだろう」

・結果がすべて。品質管理もそれを重視しています。

・コンプライアンス、こう取り組めば経営者も納得します!

・これを理解すれば標準化教育は一皮むけます。

・なぜ応急処置から先に進まないか。これで分かります。

・儲けるための品質、これが経営者を動かすコツです。

・普段の私たちの暮らしでISOってこんなに活用されているのですね。

・「お客様は神様です」この有名なフレーズの本当の意味語れますか?

など

 

次の週から,緊急企画の配信を決定!

当初の予定では,『本日から、品質部門配属になりました』シリーズ終了後に,上記の動画配信シリーズの配信を考えておりました.

その一方で,読者の皆様もご承知の通り,6月29日付で三菱電機による鉄道車両向け空調装置で35年以上にわたる不正検査を行っていたということが発覚し,その3日後の7月2日には同社・杉山武史社長は記者会見上で「組織的な不正行為」と正式に認めて,引責辞任を表明する事態にまで発展しました.調査委員会が立ち上がり,その詳細が待たれますが,品質を通じて日本企業の競争力強化を目指す超ISO企業研究会にとっても大変ショッキングなニュースです.

留まるところを知らない品質不祥事の頻発に対して警鐘を鳴らすという意味で,超ISO企業研究会においても3年前の2018年5月15日から全24回の『昨今の品質不祥事問題を読み解く』を既に配信し,この中で品質不祥事をどう防ぐことができるかについて産官学のそれぞれの立場で提言したつもりです.しかしながら,今回の三菱電機の品質不正で大きく取り上げられた「組織的な不正行為」について改めて考えたとき,その主要なひとつの原因はやはり「組織風土」にあると思い至り,そこから転じて,じゃあ品質不祥事を引き起こしやすくする「組織風土」とは何か,健全な組織運営においてどのような「組織風土」が必要かという疑問をより強く思うようになりました.

そんなときに,当研究会会長の飯塚先生との会合の合間に,飯塚先生がJAB(日本適合性認定協会)向けのメルマガ内に「組織風土」を取り上げた原稿が存在することを知り,さっそく拝読させていただいたところ,上記の疑問に対する明瞭なご回答を記述されていました.飯塚先生にさっそく相談し,原稿の使用をご許可いただきましたので,このたび緊急企画として『未だに頻発する品質不祥事を防止するために何が必要か?~飯塚会長が語る,健全な組織体制・風土を確立する方法~』を開始いたします.配信開始は来週7月27日からで,掲載回数は10数回(約3か月間程度)を予定しております.是非とも,ご一読いただければと思います.

 

金子雅明(東海大学)

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