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ここがポイント、QCツール 第20回 新QC七つ道具(3):系統図法 (2017-2-27)

2017.02.28

 

新QC七つ道具の第3回は,系統図法を取り上げます。

 

 

 

■□■ 系統図法 ■□■

 

・系統図法とは,手法の目的

 

系統図は,「目的を設定し,この目的に到達する手段を系統的に展開した図」(文献1)を言います。

系統図法は,VE(価値工学)の機能系統図の考え方を応用し,目的・目標などの設定されたゴールに到達するための手段や方策を,目的―手段の形で順次展開して具体化していく手法です。

問題に影響している要因間の関係を整理し,ある目的に到達する手段を多段階のツリー構造で展開し,目的達成のための最適手段を追求するための手法として有効です。

 

 

 

・系統図法の実施手順の本質

 

系統図法を使用するときの要点を次に例示します。

 

・解決したい問題や達成したい目的を,一段上位の「何のためにか」,一段下位の「どのようにするのか」という,目的-手段の関係を意識して確定します。

・目的を達成するための手段を明確にするには,異質の知識・経験・技能などを持っている多くのメンバーが参画したディスカッションなどにより,自由奔放に発想し,多くの独創的なアイデアを出すようにします。また,出たアイデアを活かし,育てることが大切です。

・不要な手段の削除,不足している手段の追加,不都合な表現・抜け・見落としなどを吟味し,系統図の完成度を高めていきます。

・手段を実行すれば一段上の目的が達成されるかを順次遡り,当初の目的を達成できるかを確認します。

 

 

 

・系統図法の適用場面と得られる効用・メリット

 

系統図法の活用によって得られる効用・メリットを次に例示します。

 

・系統図作成の過程やその結果から,問題解決への具体的な施策が得られやすくなる。

・ツリー状の形で,系統的かつ論理的に展開することにより,漏れや抜けの防止に役立つ。

・目的―手段のつながりが一目でわかり,関係者の理解を得やすい。

・メンバーの意思統一が容易になる。

 

 

 

・他の手法との関係-特に新QC七つ道具

 

 

連関図法により明らかになった原因に対して,系統図法を用いて方策を展開することにより,問題を解決するための実施項目を明確にできます。

また,系統図法により展開した方策を具体的に実施する順番化・手順化は,PDPC法やアローダイアグラム法により行えます。

 

系統図法により展開した方策の重要性などを,マトリックス図で対応づけて評価できます。

 

 

 

・実施・運用時の注意・留意事項

 

系統図法を活用する場合の注意・留意事項を次に例示します。

 

・取り上げたテーマや解決したい問題に対して,「~を~するためには」という表現で目的を明確にします。また,同時に考慮すべき制約事項を明確にします。

・目的を達成するための1次手段を,2~4項目決めます。

・目的を左端中央に配置し,その右側の上下に1次手段を並べ,線でつなぎます。

・1次手段を目的にして,これを達成するための2次手段を「~を~する」という表現で整理し,線でつなぎます。

・以下,3次手段,4次手段と繰り返し,実行可能なレベルまで展開します。

・下位の手段を行うことで上位の目的を達成できるかを確認し,必要に応じて手段を修正・追加します。

 

 

 

 

■参考文献

  1. JIS Q 9024:2003「マネジメントシステムのパフォーマンス改善-継続的改善の手順及び技法の指針」
  2. 「やさしい新QC七つ道具」,新QC七つ道具研究会編,日科技連,1984
  3. 「全社的品質管理推進のための管理者スタッフの新QC七つ道具」,水野滋監修,日科技連,1979

 

村川賢司(前田建設工業)

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