基礎から学ぶQMSの本質 「新シリーズ連載の開始にあたって」(2016-01-18)
2016.01.18
「ホンモノ志向の品質経営シリーズ」
テーマ3:基礎から学ぶQMSの本質
第1回 「新シリーズ連載の開始にあたって」(2016-01-18)
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先週(Vol.36)で予告をしましたように、今週から新シリーズを開始いたします。
題して「基礎から学ぶQMSの本質」シリーズです。
■新連載の動機
これまでに「超ISO企業研究会」は、以下の2つののメルマガをお届けしました。
1.真・品質経営(20回シリーズ)
2.ISO 9001改正のこころ(11回シリーズ)
一回一回を気楽に読み飛ばし、印象に残ったことを一つ二つ頭にとどめ、数時間後にはサッと忘れてしまうには、中身の濃い半端でない量の、ちょっと骨のあるメッセージをお送り続けてきました。
毎週これだけのことを書き続けるのは、実は楽ではありません。それにもかかわらず、書きたりない感が残るのです。書き綴るうちに、「ところで……」と付帯説明をしたいことが、何度もありました。
例えば「品質」です。この用語は、取り上げているテーマゆえにかなり頻繁に使われます。
ところが、その意味について、たぶん私たちと多くの読者の方とでは、とらえ方が異なっていると思います。
ISO 9001認証の維持を担当されている方のなかには、品質が事業と密接な関係を持っている、いや一体で考察しなければならないとは考えていらっしゃらない方も多いでしょう。
「品質」とは「製品・サービスを通して顧客に提供される価値に対する顧客の評価」と考え、QMSとは、その意味での品質のための「組織のマネジメントの仕組み」なのだ、という表現をご覧になって、「その通りだ!」と手を打つ方が何人いらっしゃるでしょうか。
そもそも、なぜ「顧客」を重視しなければいけないのでしょうか。
多くの製品・サービスにおいて、提供している製品・サービスがどうあるべきかについては、とくにBtoCでは、顧客よりも提供側の方が良く知っています。
それでも顧客志向,顧客指向、顧客第一、顧客フォーカスなどと謳われ、それが正しいと思われている理由はなぜなのでしょうか。
「変化の時代の品質経営」を語るときも、「ISO 9001:2015改正への賢い対応」について語るときも、品質、管理・マネジメント、システムについて、もっと深くその背景、根拠を説明し、私たちのメッセージがまともであることを補強したいと思ったことが何度もあります。
そこで、次のシリーズは、「品質マネジメント」に関する基本を確認しようと思います。
■「QMSの本質」シリーズのねらい
どのような分野でも「基本」が重要です。ある種の進化が起きてくると「原理主義」なるものが生まれます。そもそも原点に戻って考えるべきだ、というのです。
新シリーズは「原点に戻ろう」ということを訴えるつもりはありません。
時は移ります。新たな時代、新たな環境に適切に対応して、時代が求める事業運営を展開していくなかで、基本・原点を知ろう、温故知新で行こう、と提案しています。
戻るのではなく、時代の要請に合うように、基本・原理原則に対する理解を“新たに”するのです。
歴史は繰り返すと言います。厳密な意味で繰り返すはずがありません。“その時”はもう過去なのですから。繰り返すとは、「同じような状況では、同じようなメカニズムで、同じようなことは起きる」という意味です。
“いま”を賢く生きるために、“むかし”通用した原理原則を知り、“いま”に合うようにカスタマイズした原理原則を作っていきたいと思います。
メルマガの最初のテーマは「変化の時代の経営」でした。ここに、過去に成功を収めた品質管理の本質を適用して、新たな経営スタイル、名付けて「真・品質経営」を確立することができる、ということを訴えました。
メルマガの次のテーマは「ISO 9001改正の有効活用」です。
ここでも、ISO 9001が品質のためのマネジメントシステムモデルであることから、品質、マネジメント、システムに関する基本的考え方を適用することによって、もっとまともな事業成功の基盤となるQMSを構築できると訴えたつもりです。
さて、次の「QMSの本質」シリーズでは、変化の時代だからこそ,品質管理の深淵なる考えとその源泉,背景,原点を明らかにし,その適用可能性の深さ,広さを説いて,あらゆる業務への適用をお勧めしたいと考えています。
そして、いつのまにやら歪曲化された品質管理,QMSの誤解を解き,2代目,3代目の品質管理,品質保証を担当される方(とりわけ,部課長クラスの方)に対し、力強いエールをお送りしたいと考えています。
■連載内容の構想
さて、お送りする内容ですが、飯塚(超ISO研究会会長)が書籍・雑誌などに書いた材料を、金子(副会長)が、その若さを活かした現代的感覚で再構成して構想し、超ISOメンバがそれぞれの経験・考えに基づいて書き綴っていこうと考えています。
例えば……、
基本概念編:
顧客、製品・サービス、品質、品質要素、顧客の評価、内部顧客、品質と利益、管理、固有技術との関係、PDCA、重点思考、プロセス志向、標準化、事実に基づく管理、継続的改善、人間性尊重、全員参加 など
運用編:
日常管理、方針管理、機能別管理、QMSモデル、品質保証体制、クレーム処理の仕組み、重要品質問題、品質監査、ップ診断、QCサークル活動 など
品質保証機能編:
製品・サービス企画機能、設計・開発機能、購買機能、生産・サービス 提供機能、販売・付帯サービス機能 など
飯塚が書きためた材料を、金子さんに渡し、現代的感覚で再構成し、超ISOメンバがそれぞれの経験、考えに基づいて記述します。
何回になるか分かりませんが、1年ほど続く内容を考えています。いずれにしろ、かなりの長丁場になることでしょう。覚悟して(?)おつきあいのほどよろしくお願いいたします。決して損はさせません。(これが空手形でないことをお約束します)
それでは、次週からをお楽しみに。
(飯塚悦功)